NASAアポロ計画とコンピュータ

               公開日:1969/07/20

アポロ計画とコンピュータ

1969年7月20日、アポロ11号で人類は初めて月面に着陸しました。月面における調査を実施して、月の石を採取して無事地球に戻ってきました。

私は中学生で、夢中でテレビ報道を見たり新聞記事を切り抜いたりしました。そして、エレクトロニクス技術の進歩を興味深く感じていました。

アポロ計画の成功には、コンピュータの技術が大きく関係していることを知ってましたか?
私は、その当時知りませんでした。
ただ漠然とエレクトロニクス技術の時代の幕開けを感じました。

アポロ計画

アポロ(Apollo)計画は、アメリカ航空宇宙局(NASA)による有人宇宙飛行計画です。

ジョン・F・ケネディ大統領は1961年の演説で、次のように公表しました。

『1960年代のうちに人間を月に着陸させて、地球に無事帰還させる』


アポロ8号 月と地球

アポロ8号 月と地球

  • アポロ7号で、有人で地球周回飛行に成功
  • アポロ8号で、有人で月の周回飛行に成功
  • アポロ11号で、史上初の有人月面着陸に成功

アポロ11号で、この偉業が成し遂げられたわけです。

 

当時の新聞記事を切り抜きは、残念ながら紛失して残っていませんでしたが、私の切手コレクションが残っていました。

 

 

 


アポロ宇宙船とケネディ大統領が描かれています。


アポロ8号


アポロ11号

コンピュータの技術

ソフトウェア技術者として経験を積んだ現在(2016年)、当時の資料からアポロ計画におけるコンピュータの技術を調べてみると数々の困難を乗り越えて達成できた成果だと理解できます。

宇宙船側の小型コンピュータ

アポロ宇宙船には、自動制御を行うAGCと呼ばれる小型コンピュータが搭載されていました。
この小型コンピュータの仕様を調べてみました。詳しくは、下記に示した引用先を参照してください。 1 ワードが 16 ビット長のワードマシンで、メモリは2 K ワードの磁気コアメモリと36 K ワードのコアロープメモリ(固定メモリ)のわずかなメモリしか搭載していません。命令の種類も34個と少なく、わずかな演算レジスタしか使用できません。
アポロ宇宙船の制御を行う重要なソフトウェアは、AGCアセンブラ言語で記述されたそうです。当時の小型コンピュータの性能を考えると、ソフトウエアはアセンブラ言語で記述したことを理解できます。とても重要なソフトウェアなので何度もいろいろなテストが実施されたことと想像します。このようにとてもシンプルなコンピュータで難易度の高いソフトウェアを実現し、史上初の偉業を成し遂げたことに驚きます。

アポロ誘導コンピュータは、アポロ宇宙船の司令船と月着陸船に搭載された今日の組込みシステムの原型といえる超小型コンピュータで、AGC(Apollo Guidance Computer)と呼ばれた。
【引用】
電子情報通信学会「知識ベース」ver.1/2010.2.17 6群-1編-3章 3-12

センター側の大型コンピュータ

ヒューストン管制センターでは、IBM System/360汎用コンピュータが設置され、宇宙船から地球に送られてくる膨大なデータを処理して宇宙船に指令を与えてました。
IBM System/360は、IBMが全力を注いで開発した画期的なコンピュータでとても有名です。上位機種から下位機種までスケーラブルで完全互換性があり、360度全方位の応用をカバーするという意味からSystem/360という名前がついたそうです。

センター側のコンピュータは、宇宙飛行をサポートするために大規模なソフトウェアが開発されて、テストを重ねて運用されたものと想像します。
この時期に、メインフレーム市場をほぼ独占したすばらしいコンピュータが開発されたことを再認識しました。

ヒューストンのミッション・センターでは、大勢のエンジニアとプログラマーたちがNASAのリアルタイム複合計算機システムにある5台のIBM システム/360 モデル75コンピュータを使って仕事をしていました。計画の速度、飛行経路角、インパクトの時間と位置に関するあらゆるデータは継続的にモニタリングされ、計算されました。
【引用】
IBM100年の軌跡 アポロ計画

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