x86 PCで Raspberry PIXELを試してみる

               公開日:2017/01/17

はじめに

2017年1月、ラズベリーパイ用OSのRaspbianがx86 PC向けにリリースしたことを知りました。Raspbianのデスクトップ環境をインテルアーキテクチャのPCで動作するライブ起動の軽量Linuxらしいです。

Raspberry Pixel x86 PC

Raspberry Pixel x86 PC


↓↓↓【2017年11月に追記】

2016年12月 にPIXEL FOR PCが公開されました。2017年6月には、その後継のRASPBERRY PI DESKTOP X86が公開されました。新情報は、下記ブログを参照してください。

PCに Raspberry Pi Desktop X86 をインストールした

↑↑↑



 

Pixel for PC

Pixel for PC

公式サイトによると、PIXEL はPentium M メモリ512MBの「Think Pad X40」で動作可能と書かれています。

 

Because we’re using the venerable i386 architecture variant it should run even on vintage machines like my Think Pad X40, provided they have at least 512MB of RAM.

【要約】

昔からあるi386アーキテクチャを使用しているので、「Think Pad X40」のような年代物のマシンで走らすことができます。

古いPCに導入してみる

対象PC

Raspbian PIXEL により古いPCがよみがえるらしいので、私の持っている古い PCに導入してみました。

導入対象は、Onkyoから発売になった「NX707A4」です。

  • インテル Atomプロセッサー Z520 動作周波数 1.33GHz
  • メモリ オンボード DDR2 SDRAM 1GB
  • 抵抗膜方式タッチパネル付き7型ワイドTFTカラー液晶(1,024×600ドット)
  • インテル グラフィックス・メディア・アクセラレーター DMA500 (チップセット内蔵)

OSはWindows7 Starterをプレインストールしてありました。

Windows10にアップグレードしたため、クリックに対する反応が遅くなりとても使いにくくなってしまいました。

NX707A4はノートPCですが、タッチパネルが付いているので液晶を180度回転してタブレットスタイルとして使用することができます。

PIXELを導入してよみがえるなら、とてもうれしいことです。

SDカードにイメージを作成

 

NX707A4は、SDカードからブートすることができますので、Raspberry PIと同じようにSDカードにイメージを書き込むことにしました。

ライブ起動ですので、DVDから実行した場合はシステムやファイルに変更を加えても電源を切ると消えてしまいます。しかし、SDやUSBメモリから起動した場合はデバイス上のスペアスペースを使用してパーティションを作成するので変更は維持されます。


公式サイトからISOイメージをダウンロードしてDVDやUSBやSDにイメージを書き込みます。

pixel-x86 Download

pixel-x86 Download

2016-12-13-pixel-x86-jessie.iso をダウンロードします。

イメージを焼くツールは、Etcherを推奨しています。

Etcher Tool

Etcher Tool

① SELECT IMAGE で、ISOイメージを選択します
② SELECT DRIVE で、SDカードのドライブを選択します
③ FLASH IMAGE で、イメージの書き込みを開始します

イメージの書き込みが完了すると自動的にマウントを解除して安全な取り外しができます。とても簡単に使用できます。

 

ブート

イメージを書き込んだSDカードをSDスロットに差し込んで、NX707A4の電源を投入します。BIOS設定画面を表示するために、[F2]キーを押します。

NX707A4 BIOS Boot

NX707A4 BIOS Boot

BIOS SETUP UTILITY の Bootメニューから、1st Boot Device に「USB:Generic STORAGE」を指定します。

[F10]でBIOSを終了して、ブートします。

ラズパイのマークと「Debian (jessie) with PIXEL i386」が表示されてブートがはじまります。しばらくすると、見慣れた Raspbian jessie のデスクトップが表示されました。

Raspberry PIでノートPCを自作したような錯覚を覚えました。

最新に更新する

ネットワークに接続して、次のコマンドを入力して最新版に更新します。

sudo apt-get update
sudo apt-get dist-upgrade

日本語化する

ターミナルを開いて言語とタイムゾーンを設定します。

sudo dpkg-reconfigure locales

[*] ja_JP.UTF-8 UTF-8 を選択

sudo dpkg-reconfigure tzdata

アジア / Tokyo を選択

sudo apt install task-japanese-desktop

日本語関連パッケージをインストールします。

 

いったんログアウトして、再度ログイン(ユーザー名 : pi、パスワード : raspberry)するとデスクトップは日本語になります。

Raspberry Pixel

Raspberry Pixel

システム情報を調べる

システム情報を調べてみます。

pi@raspberrypi:~ $ uname -a
Linux raspberrypi 3.16.0-4-686-pae #1 SMP Debian 3.16.36-1+deb8u2 (2016-10-19) i686 GNU/Linux
pi@raspberrypi:~ $ lsb_release -a
No LSB modules are available.
Distributor ID: Debian
Description:    Debian GNU/Linux 8.7 (jessie)
Release:        8.7
Codename:       jessie

Raspbian PIXELを使用する

インターネット

ブラウザーは、chromiumがインストールされており、なかなか快適に使用できます。
YouTubeも視聴できました。もちろんタッチパネルも使用できます。

sshサーバー

sshサーバーを有効にします。

sudo vi /etc/ssh/sshd_config

PasswordAuthentication no → yes に変更します

 

sudo systemctl restart ssh
sudo systemctl enable ssh

別のPCからssh telnetでログインできるようになりました。

gccを使う

gccを使ってみます。GCCのバージョンは、4.9.2です。

pi@raspberrypi:~/MyProg $ gcc -v
gcc version 4.9.2 (Debian 4.9.2-10)

 

簡単なCプログラムを作成して、ビルドします。

pi@raspberrypi:~/MyProg $ cat test.c
#include <stdio.h>

main()
{
    printf("Hellow \n");

}
pi@raspberrypi:~/MyProg $ gcc test.c -o test
pi@raspberrypi:~/MyProg $ ls -l
合計 12
-rwxr-xr-x 1 pi pi 4920  1月 16 17:58 test
-rw-r--r-- 1 pi pi   59  1月 16 17:55 test.c
pi@raspberrypi:~/MyProg $ ./test
Hellow

実行できました。

 

最後に

Raspbian PIXELで古いPCのNX707A4がよみがえりました。SDカードからブートするので、Raspberry PIと同じように使えます。PIXELデスクトップは、x86 PCもRaspberry PIも同じものです。

PIXELはまだプロトタイプらしいですが、私の試したPCでは特に問題は発生しませんでした。


公式ページによると、PIXEL開発の価値について二つの理由が書かれてます。

Why do we think this is worth doing?  Two reasons:

● A school can now run PIXEL on its existing installed base of PCs, just as a student can run PIXEL on her Raspberry Pi at home. She can move back and forth between her computing class or after-school club and home, using exactly the same productivity software and programming tools, in exactly the same desktop environment. There is no learning curve, and no need to tweak her schoolwork to run on two subtly different operating systems.

● And bringing PIXEL to the PC and Mac keeps us honest. We don’t just want to create the best desktop environment for the Raspberry Pi: we want to create the best desktop environment, period. We know we’re not there yet, but by running PIXEL alongside Windows, Mac OS, and the established desktop GNU/Linux distros, we can more easily see where our weak points are, and work to fix them.

 

【要約】
なぜこれは価値があると思いますか?二つの理由:

  • 学校のPCと自宅のRaspberryで同じPIXELデスクトップ環境で同じプログラミングツールを使用することにより、学習曲線に影響を与えません (There is no learning curve)
  • ラズベリーパイのための最高のデスクトップ環境を作りたいだけではなく、最高のデスクトップ環境を作りたいと思っています。Windows、Mac OS、およびGNU / Linuxと並んでPIXELを実行することで、弱点がどこにあるのかをより簡単に確認し、解決することができます

 

教育用を主たる目的としているRaspberry PIプロジェクトは、安価なハードウェアを提供するだけではなく、最高のデスクトップ環境を提供してソフトウェアの学習効率を向上させようとしていることがわかります。

とてもすばらしいプロジェクトです。

 

 

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