WSL2 Ubuntu22.04にRe:VIEWをインストール
2024年3月、WSL2 Ubuntu22.04に執筆支援システム Re:VIEWをインストールしました。
Re:VIEWはLinuxで動作しますので、WSL2のUbuntu22.04にインストールします。使用したWindowsは、Windows 11 Pro バージョン23H2です。
$ lsb_release -a No LSB modules are available. Distributor ID: Ubuntu Description: Ubuntu 22.04.4 LTS Release: 22.04 Codename: jammy
Windows11にWSL2 Ubuntu22.04環境をインストールして使用しています。
Re:VIEW 執筆支援システムとは
電子書籍執筆ツールRe:VIEWは、手軽に使用できる電子書籍出版システムです。
マークアップ記法で記述したひとつのテキストファイル原稿からEPUBやPDFなどの形式に変換するコンバーターのようなものです。
同じソース(原稿)からPDFやEPUBなどの複数フォーマットのドキュメントを作成するという魅力的なコンセプトです。
詳細は、拙著『最強の電子書籍執筆ツール Re:VIEW解説』を参照してください。
Re:VIEWのインストール
Rubyのインストール
Re:VIEWをインストールするには、Rubyが必要です。まず、Rubyをインストールします。
$ sudo apt install ruby [sudo] password for pi: Reading package lists... Done Building dependency tree... Done Reading state information... Done The following additional packages will be installed: (・・・ 省略 ・・・) After this operation, 38.7 MB of additional disk space will be used. Do you want to continue? [Y/n] y (・・・ 省略 ・・・) $
$ ruby --version ruby 3.0.2p107 (2021-07-07 revision 0db68f0233) [x86_64-linux-gnu] $
Rubyのバージョンは、3.0.2でした。
TeXのインストール
PDF出力する場合は、TeXによりPDF変換するのでTeXが必要です。すでに、TeXLive2024をインストール済みなので、ここでは説明を割愛します。
Re:VIEWのインストール
「gem install review」 コマンドで Re:VIEWをインストールします。
$ sudo gem install review [sudo] password for pi: Fetching review-5.8.0.gem Fetching tty-logger-0.6.0.gem Fetching rubyzip-2.3.2.gem Fetching tty-color-0.6.0.gem Fetching pastel-0.8.0.gem Fetching image_size-3.4.0.gem Fetching rouge-4.2.0.gem Successfully installed tty-color-0.6.0 Successfully installed pastel-0.8.0 Successfully installed tty-logger-0.6.0 RubyZip 3.0 is coming! ********************** (・・・ 省略 ・・・) $
Re:VIEWのバージョンを確認します。
$ review version 5.8.0
バージョンのまとめ
今回 Re:VIEWをインストールした環境のバージョンを示します。
モジュール | バージョン |
---|---|
Linux | Ubuntu 22.04.4 LTS |
Ruby | 3.0.2p107 |
TeX | TeX 3.141592653 (TeX Live 2024) |
Re:VIEW | 5.8.0 |
Re:VIEWを使う
原稿フォルダ
Re:VIEWはLinuxで動作しますが、原稿のテキストファイル作成やEPUB表示はWindowsで行うことにします。
WSL2はLinuxからWindowsのディレクトリにアクセスできますので、原稿を入れるフォルダをWindows側に作成します。
Windowsディレクトリ(C:\MyHome\Ubuntu_22.04)をLinux(MyHome)でアクセスできるようにシンボリックリンクを作成します。
$ ln -s /mnt/c/MyHome/Ubuntu_22.04 MyHome $ cd MyHome $ mkdir review5 $
「~/MyHome/review5」が原稿用のディレクトリです。
原稿作成
Re:VIEWの原稿を作成するためにreview-initコマンドでひな型を作成します。
$ cd $ cd MyHome/review5 $ pwd /home/pi/MyHome/review5 $ review-init sample
treeコマンドで、sampleディレクトリーの内容を確認します。
$ cd sample $ tree . ├── Gemfile ├── Rakefile ├── catalog.yml ├── config.yml ├── doc │ ├── catalog.ja.md │ ├── catalog.md │ ├── customize_epub.ja.md │ ├── customize_epub.md │ ├── format.ja.md │ ├── format.md │ ├── format_idg.ja.md │ ├── makeindex.ja.md │ ├── makeindex.md │ ├── pdfmaker.ja.md │ ├── pdfmaker.md │ ├── preproc.ja.md │ ├── preproc.md │ ├── quickstart.ja.md │ ├── quickstart.md │ ├── writing_vertical.ja.md │ └── writing_vertical.md ├── images │ ├── cover-a5.ai │ └── cover.jpg ├── lib │ └── tasks │ └── review.rake ├── sample.re ├── sty │ ├── README.md │ ├── gentombow.sty │ ├── jsbook.cls │ ├── jumoline.sty │ ├── plistings.sty │ ├── review-base.sty │ ├── review-custom.sty │ ├── review-jsbook.cls │ ├── review-style.sty │ ├── review-tcbox.sty │ └── reviewmacro.sty └── style.css 5 directories, 37 files $
ファイル名 | 用途 |
---|---|
catalog.yml | カタログ 章立て(目次構成)の記述 |
config.yml | ドキュメントの設定の記述 |
Gemfile | Ruby言語のパッケージ管理用ファイル |
Rakefile | Ruby言語のビルド用タスク定義(rake)ファイル |
sample.re | Re:VIEW 原稿の本文ファイル |
style.css | HTMLファイルや ePubファイルのスタイルファイル |
images/ | 画像の配置フォルダ |
layouts/ | HTMLファイルや ePubファイルのレイアウト設定を記述 |
sty/ | Tex用スタイルファイル配置フォルダ |
原稿 sample.reは空(ファイルの内容は “= ” だけ)ですので、次のような原稿を書きます。
Windowsのテキストエディタで原稿を記述します。原稿ファイルの文字コードはUTF-8とします。
= はじめてのRe:VIEW
//lead{
このドキュメントは、@{Re:VIEW}についての紹介です。
//}
== Re:VIEWとは
@{Re:VIEW}は、電子書籍向けの簡易なマークアップ言語で
記述したテキストファイルをEPUBやPDFなどの形式に
変換するツールセットです。
EPUB生成
rake epubコマンドで、EPUB文書を生成します。
$ rake epub review-epubmaker config.yml ✔ SUCCESS built book.epub $
ビルドが成功してEPUB文書(book.epub)を生成しました。
EPUBビュアーはいろいろありますが、私はcalibreというEPUBビュアーを使用しています。
Windowsの「C:\MyHome\Ubuntu_22.04\review5\sample」にbook.epubがありますので表示してみます。
PDF生成
rake pdfコマンドで、PDF文書を生成します。
$ rake pdf pi@MyHPX360:~/MyHome/review5/sample$ rake pdf review-pdfmaker config.yml ℹ INFO compiling sample.tex ℹ INFO uplatex -interaction=nonstopmode -file-line-error -halt-on-error __REVIEW_BOOK__.tex ℹ INFO uplatex -interaction=nonstopmode -file-line-error -halt-on-error __REVIEW_BOOK__.tex ℹ INFO uplatex -interaction=nonstopmode -file-line-error -halt-on-error __REVIEW_BOOK__.tex ℹ INFO dvipdfmx -d 5 -z 9 __REVIEW_BOOK__.dvi ✔ SUCCESS built book.pdf pi@MyHPX360:~/MyHome/review5/sample$
ビルドが成功してPDF文書(book.pdf)を生成しました。
Adobe Acrobat ReaderでPDF文書を確認します。
Windowsの「C:\MyHome\Ubuntu_22.04\review5\sample」にbook.pdfがありますので表示してみます。
まとめ
Windows11のWSL2 Ubuntu22.04環境にRe:VIEW 5.8.0をインストールしました。