DEC TOPS-20の解説書
2019年9月、Amazonから『超マシン復活 #1 DEC TOPS-20 レトロOSワールド』という本を出版しました。
先人の知恵を探す知的冒険の旅へようこそ
DECのPDP-10マシンで動作するレトロなOS TOPS-20について記載したものです。
TOPS-20は、1970年代から1980年代にかけてUNIXと共に人気のあったOSです。偉大な先人が開発したTOPS-20 OSは、歴史的に貴重なソフトウェアの宝庫です。KLH10というPDP-10エミュレーターを使用して、TOPS-20を復活させます。
探究心と好奇心の扉を開いて、知的冒険の旅へ出発しましょう!
TOPS-20との出会いと再会
筆者は1976年にTOPS-20と出会いました。そして、素晴らしいオペレーティングシステムだと感じました。TOPS-20が初めてのコンピューターだったら、この体験が自分のものさしの基準となって、何も感じなかったと思います。
しかし、幸いなことに筆者が初めて使ったコンピューターは、大学の大型コンピューターTOSBAC-3400で、パンチカードによるバッチ処理方式でした。そして、こういうものがコンピューターなんだと考えていました。
大学3回生のときに、コンピューターがDECSYSTEM-2040にリプレースしTOPS-20が走りました。なんと、タイムシェアリング(TSS)方式でターミナルに向かってひとりで独占して使っているかのごとく対話方式で使えました。
1980年代、TOPS-20はPDP-10の開発終了によって終焉を迎えました。TOPS-20は世の中から消えましたが、筆者の頭の片隅に記憶として残っていました。
それから、時が流れて2018年のことです。アマゾンで『れがしーなOS達: ラズベリーパイで試す DEC社 TOPS-20』という本を発見しました。
この書籍は、DEC TOPS-20をRaspberry Piで実行する方法について書いてあります。
Raspberry Piで環境を構築して、早速使ってみると不思議なことにTOPS-20の使用感を手が覚えていました。幸運なことにTOPS-20の資料はインターネットに公開されていますので、マニュアルなどを調査して使い方を調べ始めました。TOPS-20と再会するきっかけとなった『れがしーなOS達: ラズベリーパイで試す DEC社 TOPS-20』の著者に感謝します。
本書のサンプル
本書の内容を紹介します。
第1章 DEC TOPS-20の世界
コンピューター・メーカーのDECがPDP-10マシン向けに開発したTOPS-20について説明します。驚きの誕生秘話、終焉、時を超えての復活と興味深い内容です。
第2章 超マシン復活
レトロなTOPS-20 OSを復活させる方法について説明します。PDP-10は現存しないので、Linuxマシンでエミュレーターを実行して本物のTOPS-20用バイナリーコードを実行します。
第3章 よみがえるTOPS-20
各種設定を行うためにTOPS-20コマンドやエディターの使い方を説明します。そして、ネットワークなどの設定を行うことにより、TOPS-20がよみがえります。
第4章 TOPS-20コマンド
ファイルシステム操作やプログラム制御などに関するTOPS-20のコマンドを説明します。登録した新しいユーザーでログインして、実際に操作してみてください。
第5章 冒険の旅へ出発
TOPS-20の世界を旅します。『先人の英知を探す知的冒険』に出るために必要な予備知識とヒントを紹介します。探究心と好奇心の扉を開いて、知的冒険の旅へ出発しましょう!
第6章 Let’sプログラミング
プログラムをビルドして実行する方法について説明します。TOPS-20は、プログラミング言語の宝庫です。ここでは、C言語を取り上げます。
超マシン復活 #1 DEC TOPS-20 レトロOSワールド
『超マシン復活 #1 DEC TOPS-20 レトロOSワールド』は、ラズパイで動く超マシンシリーズ1です。#1と付いているように、#2も執筆予定です。
本の情報
- 超マシン復活 #1 DEC TOPS-20 レトロOSワールド
- 2019年9月20日
- フォーマット: Kindle版
- ファイルサイズ: 15377 KB
- 紙の本の長さ: 431 ページ
- 出版社: 私の計算機科学研究
- 販売: Amazon Services International, Inc.
目次
はじめに
第1章 DEC TOPS-20の世界
1.1 DEC TOPS-20とは
1.2 市場を制覇したIBM
1.3 ミニコンの巨人 DEC
バイトマシン vs ワードマシン
1.4 TOPS-20 設計哲学
1.5 TOPS-20 誕生秘話
1.6 時を超え復活!
第2章 超マシン復活
2.1 レトロシステムの復刻
2.2 仮想PDP-10の導入
2.3 KN10エミュレーター
2.4 システム構成の定義
2.5 TOPS-20起動と停止
2.6 起動と停止シーケンス
第3章 よみがえるTOPS-20
3.1 TOPS-20入門
3.2 各種設定
3.3 アカウント登録
3.6 簡単起動と簡単停止
第4章 TOPS-20コマンド
4.1 ファイル仕様
4.2 ファイル操作コマンド
4.3 システム操作コマンド
4.4 プログラム制御コマンド
4.5 論理名の表示と定義
4.6 特権コマンド
4.7 コマンドレベル制御
4.8 システムバージョン
第5章 冒険の旅へ出発
5.1 エディターの選択
5.2 EMACS
5.2.1 EMACS概要
5.2.2 EMACSの操作
5.2.3 EMACSを使う
5.3 ラインエディター
5.3.1 ラインエディター概要
5.3.2 ラインエディターの操作
5.3.3 ラインエディターを使う
5.4 コマンドの履歴機能
5.4.1 履歴機能の設定
5.4.2 履歴の呼び出し方
5.4.3 LOGIN.CMD設定 履歴
5.5 Kermitファイル転送
5.5.1 Kermitとは
5.5.2 Kermitコマンド
5.6 FTPファイル転送
5.6.1 FTPとは
5.6.2 DOS FTPコマンド
5.7 ネットでお喋り
5.7.1 タイムシェアリング起動
5.7.2 ユーザーリスト
5.7.3 端末間のリンク
5.8 UNIX Toolsが動く
5.8.1 UNIX互換ツール
5.8.2 bashが動いた!
5.8.3 UNIX vs TOPS-20
5.9 ディレクトリー散策
5.9.1 ディレクトリーのリスト化
5.9.2 ディレクトリー抽出
5.9.3 TREE作成
第6章 Let’sプログラミング
6.1 プログラミング言語
6.2 ビルドと実行
6.3 プログラムの宝庫
6.4 C言語
6.4.1 概要
6.4.2 コンパイルと実行方法
6.4.3 EXEファイルの肥大化
6.4.4 例題A:斜方投射の軌道
6.4.5 例題B:階乗の計算
付録A マニュアル
A.1 User’s Guide
A.2 Commands Reference Manual
A.3 Monitor Calls User’s Guide
付録B ドキュメント
B.1 TOPS-20 documentation
B.2 ドキュメントディレクトリー
おわりに
参考文献
索引
改訂履歴
著者紹介
著者書籍 一覧
内容紹介
アマゾンの内容紹介を下記に示します。
本書は、DECのPDP-10マシンで動作するレトロなOS TOPS-20
について記載したもので、主な内容を下記に示します。* エミュレーターの導入と設定方法
* TOPS-20の基本的なコマンド解説
* TOPS-20の世界を旅するヒントTOPS-20は、1970年代から1980年代にかけてUNIXと共に
人気のあったOSです。偉大な先人が開発したTOPS-20 OSは、
歴史的に貴重なソフトウェアの宝庫です。PDP-10はもう現存していません。
そこで、TOPS-20 OSを復活させるために、
Linuxマシンでエミュレーターを実行して
本物のTOPS-20用バイナリーコードを実行します。本書では、Panda TOPS-20 Distribution を利用して
KLH10というPDP-10エミュレーターを使います。
そして、「TOPS-20 Monitor 7.1」を起動します。Linuxマシンを準備して、実際にTOPS-20を体験してください。
本書では、低価格の小型ボードコンピューターRaspberry Piを
使用しますが、Windowsで使用していた古いパソコンでも良いです。■ 本書の主な対象読者
☆ ソフトウェア技術者をめざして情報技術を学ぶ学生
☆ 経験の浅い新人の技術者
☆ 経験豊富なベテラン技術者■本書の目的
本書の目的は、レトロOSワールドである素晴らしいDEC TOPS-20を体験して、
他のシステムとの違いを感じて、自分のものさしを調整することです。
本書では、エミュレーターの導入と設定方法やTOPS-20の基本的なコマンド
について解説します。
TOPS-20の魅力は、本書だけでは語り尽くせません。
TOPS-20ワールドは、ワクワクでいっぱいです。
この本を出発点として、
探究心と好奇心の扉を開いて先人の知恵を探す知的冒険の旅へ出発してください。